研究について
正確な遺伝子発現は生命現象の根幹であり、異常タンパク質の産生はタンパク質恒常性の破綻をもたらす根本原因と考えられる。異常タンパク質は、翻訳後に様々な要因で立体構造等の変化により生じるが、異常なmRNAや不正確な翻訳反応、さらに異常なリボソームでも産生されることが明らかになってきた。我々は翻訳伸長異常を認識し、合成途中の新生ポリペプチド鎖を分解するRQC(Ribosome-associated quality control)を発見し、リボソームの特異的なユビキチン化による運命決定機構を解明してきた。さらに、機能を欠損したリボソームを分解する品質管理機構であるNRD(Non-functional rRNA Decay)を解析し、小サブユニットの構成18S rRNAに翻訳伸長中の正確なコドン認識に必須な部位に変異が生じた場合の分解機構である18S NRD(18S Non-functional rRNA Decay)における、E3ユビキチンライゲースによるリボソームタンパク質の特定部位でのユビキチンの機能も解明している。これらの翻訳品質管理は、異常タンパク質の産生を抑制し、タンパク質恒常性を維持する分子機構の解明は、様々な異常タンパク質蓄積により引き起こされる疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患)や老化に関する創薬の分子基盤になることが期待される。
お知らせ
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- 2021.3.3
- RNA制御学分野のホームページを公開しました。